デザイン会社との打ち合わせで困らないための用語解説|発注前に押さえたい基本知識

デザイン会社にロゴ、チラシ、パンフレット、Webサイト、バナー、看板などを依頼するとき、打ち合わせの中で聞き慣れない言葉が出てくることがあります。

たとえば、「トンマナを整えましょう」「CTAを分かりやすくしましょう」「ファーストビューを改善しましょう」「ラフ案を確認してください」「入稿データを作成します」と言われても、初めてデザインを外注する方にとっては、少し分かりにくいかもしれません。

ただし、デザイン用語をすべて暗記する必要はありません。大切なのは、その言葉が何を意味し、打ち合わせや制作のどの場面で使われるのかを大まかに理解しておくことです。

用語の意味が分かると、デザイン会社との会話がスムーズになります。要望も伝えやすくなり、「思っていた仕上がりと違った」という認識のズレも減らしやすくなります。

この記事では、デザイン会社との打ち合わせで困らないために、発注前に押さえておきたい基本用語を分かりやすく解説します。

目次

デザイン用語を知っておくと、打ち合わせが進めやすくなる

デザイン会社との打ち合わせでは、専門用語を完璧に使いこなす必要はありません。

むしろ、発注者にとって重要なのは、用語そのものを覚えることではなく、自社の要望を具体的に伝えるための共通言語として理解することです。

たとえば、「もっと目立たせたい」と伝えるだけでも意味は通じます。しかし、「問い合わせボタンをもっと目立たせたい」「一番伝えたいキャンペーン情報を上部に配置したい」と伝えられれば、制作側も意図をつかみやすくなります。

同じように、「おしゃれにしたい」だけでは解釈が分かれますが、「落ち着いたトンマナで、余白を使って上品に見せたい」と伝えれば、方向性が具体的になります。

あいまいな伝え方 具体的な伝え方
もっと目立たせたい CTAや問い合わせ導線を分かりやすくしたい
雰囲気を整えたい トンマナを統一したい
読みにくい フォントサイズ、行間、余白を見直したい
ごちゃごちゃしている レイアウトの優先順位を整理したい
最初の印象を良くしたい ファーストビューやメインビジュアルを改善したい

用語を知っていると、デザイン会社に「何となく」ではなく、どの部分をどうしたいのかを伝えやすくなります。

デザイン発注でよく使われる基本用語

ここでは、ロゴ、チラシ、パンフレット、Webサイト、看板など、さまざまなデザイン制作で使われやすい基本用語を整理します。

トンマナ

トンマナとは、「トーン&マナー」の略で、デザイン全体の雰囲気や表現ルールを指します。

色、文字、写真、イラスト、余白、言葉遣いなどを統一し、ブランドやサービスの印象を整えるために使われます。

たとえば、同じ飲食店でも、高級レストランと町中華では適したトンマナが異なります。高級レストランなら落ち着きや上品さ、町中華なら親しみやすさや活気を重視することが多いでしょう。

業種・目的 合いやすいトンマナの例
士業・医療系 信頼感、清潔感、落ち着き
飲食店 食欲、親しみ、活気
美容・サロン 上品、柔らかさ、洗練
不動産 安心感、誠実さ、分かりやすさ
採用向け 明るさ、人柄、働きやすさ

トンマナを決めるときは、「自分たちが好きな雰囲気」だけでなく、お客様や求職者にどう見られたいかを考えることが大切です。

レイアウト

レイアウトとは、文字、写真、イラスト、ボタン、見出しなどをどの位置に配置するかを決めることです。

単に見た目を整える作業ではなく、情報の優先順位を決め、見る人の視線を誘導する役割があります。

たとえば、チラシであれば、目玉商品やキャンペーン情報を目立つ位置に置く必要があります。Webサイトであれば、サービス内容、強み、実績、問い合わせボタンまで自然に読み進められる流れを考える必要があります。

レイアウトは、情報をどの順番で見せるかを設計する作業とも言えます。

余白

余白とは、文字や画像の周囲にある空きスペースのことです。

一見すると「何もない部分」に見えますが、実際にはデザインの見やすさや印象を左右する重要な要素です。

余白が少なすぎると、情報が詰まって見え、読みづらくなります。反対に、余白を適切に取ると、情報が整理され、落ち着いた印象や高級感を出しやすくなります。

ただし、余白を広く取れば必ず良いというわけではありません。媒体のサイズ、掲載する情報量、ターゲットによって適切な余白は変わります。

配色

配色とは、デザインで使用する色の組み合わせのことです。

色は、見る人の印象に大きく影響します。青は信頼感、赤は活気や注意喚起、緑は安心感や自然、黒は重厚感などを連想させることがあります。

ただし、色の印象は業種や文脈によって変わります。

たとえば、黒は高級感を出すために使われることがありますが、業種によっては重く見える場合もあります。赤は目立つ色ですが、使いすぎると強すぎる印象になることもあります。

配色を考えるときは、好みだけでなく、ブランドイメージ、ターゲット、競合との差別化、媒体での見え方を考えることが重要です。

フォント

フォントとは、文字の書体のことです。

ゴシック体、明朝体、丸ゴシック体、手書き風書体など、フォントによって印象は大きく変わります。

フォントの種類 与えやすい印象
ゴシック体 分かりやすい、現代的、力強い
明朝体 上品、落ち着き、信頼感
丸ゴシック体 やさしい、親しみやすい
手書き風 温かみ、個性、カジュアル

フォントを選ぶときは、見た目の雰囲気だけでなく、読みやすさも大切です。

特にチラシや看板、Webサイトでは、文字が小さくなったときやスマートフォンで見たときに読みやすいかを確認する必要があります。

視認性・判読性・可読性

デザインの打ち合わせでは、「見やすくしたい」「読みやすくしたい」という話がよく出ます。

このとき、似た言葉として視認性、判読性、可読性があります。

用語 意味
視認性 パッと見たときに情報の存在に気づきやすいか
判読性 文字や数字を見分けやすいか
可読性 文章として読み進めやすいか

看板やバナーでは、まず視認性が重要です。通行人や閲覧者が一瞬で内容に気づける必要があります。

一方、パンフレットやWeb記事では、可読性も重要です。長い文章を読んでも疲れにくい文字サイズ、行間、余白、見出し設計が求められます。

「目立つこと」と「読みやすいこと」は似ていますが、まったく同じではありません。媒体や目的に合わせて、どちらを優先するかを考える必要があります。

あしらい

あしらいとは、デザインに添える装飾やアクセントのことです。

線、アイコン、図形、背景パターン、吹き出し、飾り枠などが該当します。

あしらいは、情報を整理したり、デザインにリズムを出したりするために使われます。

ただし、あしらいを増やしすぎると、かえって情報が見えにくくなることがあります。装飾は主役ではなく、伝えたい内容を引き立てる補助役です。

キービジュアル・メインビジュアル

キービジュアルとは、広告やWebサイト、チラシなどで中心となる印象的なビジュアルのことです。

Webサイトの上部に大きく配置される画像を、メインビジュアルと呼ぶこともあります。

キービジュアルやメインビジュアルは、見る人の第一印象を決める重要な要素です。

たとえば、採用サイトであれば働く人の雰囲気が伝わる写真、飲食店であれば料理の魅力が伝わる写真、企業サイトであれば信頼感や事業内容が伝わるビジュアルが求められます。

見た目がきれいなだけでなく、何を伝えるためのビジュアルなのかを考えることが大切です。

コピー

コピーとは、広告やデザインの中で使われる言葉のことです。

代表的なものに、キャッチコピー、見出し、ボディコピーがあります。

種類 役割
キャッチコピー 最初に興味を引く短い言葉
見出し 内容を分かりやすく区切る言葉
ボディコピー 商品・サービスの魅力や詳細を伝える文章

デザインは見た目だけでなく、言葉との組み合わせで伝わり方が変わります。

写真や色が良くても、コピーが曖昧だと、何を伝えたいのか分かりにくくなる場合があります。

Web・広告デザインでよく使われる用語

Webサイト、LP、広告バナー、SNS画像などを依頼する場合は、紙媒体とは少し違う用語も出てきます。

ここでは、Webや広告領域でよく使われる用語を解説します。

ファーストビュー

ファーストビューとは、Webページを開いたときに、スクロールせず最初に表示される範囲のことです。

ただし、ファーストビューの範囲は固定ではありません。スマートフォン、タブレット、PCなど、画面サイズによって表示される範囲は変わります。

そのため、ファーストビューでは、どの端末でも次の情報が伝わるように設計することが大切です。

  • 何のサイトなのか
  • 誰に向けたサービスなのか
  • どのようなメリットがあるのか
  • 次に何をすればよいのか

たとえば、サービスサイトであれば、会社名やサービス名だけでなく、「何を解決できるのか」が伝わることが重要です。

ファーストビューは、単に派手なデザインにする場所ではありません。ユーザーが続きを読むべき理由を判断する場所です。

CTA

CTAとは、「Call To Action」の略で、ユーザーに次の行動を促す要素のことです。

Webサイトでは、問い合わせボタン、資料請求ボタン、予約ボタン、電話ボタンなどがCTAにあたります。

チラシやパンフレットでも、QRコード、電話番号、申し込み方法、来店案内などはCTAとして考えることができます。

CTAで大切なのは、ボタンを目立たせることだけではありません。

  • どの行動を促したいのか
  • どこに配置すると自然か
  • 文言が分かりやすいか
  • 行動前の不安を解消できているか
  • スマートフォンでも押しやすいか

たとえば、「お問い合わせはこちら」だけでなく、「まずは相談する」「無料見積もりを依頼する」「資料を請求する」など、ユーザーの心理に合った文言にすることで、行動しやすくなる場合があります。

CTAは、ボタン単体ではなく、行動につなげるための導線全体として考えることが重要です。

バナー

バナーとは、Web上に表示される広告画像や誘導用画像のことです。

キャンペーン告知、サービス紹介、イベント案内、採用募集、SNS広告など、さまざまな用途で使われます。

バナーは限られたスペースで情報を伝える必要があるため、文字量や写真選びが重要です。

よくある失敗は、伝えたいことをすべて入れようとして、結果的に何を伝えたいのか分かりにくくなることです。

バナーでは、基本的に一番伝えたい内容を絞ることが大切です。

OGP画像

OGP画像とは、WebページがSNSやチャットツールなどで共有されたときに表示される画像のことです。

正確には、Open Graph Protocolという仕組みで設定する情報の一部です。ページのタイトルや説明文とあわせて、共有時の見え方を整える役割があります。

たとえば、コラム記事のURLをLINEやSNSで共有したとき、タイトルと一緒に画像が表示されることがあります。その画像がOGP画像です。

OGP画像は、直接的な制作物として見落とされやすい部分ですが、SNSでの第一印象に関わります。

Webサイトやコラムを制作する場合は、ページ内容に合ったOGP画像を用意しておくと、共有時の印象を整えやすくなります。

LP

LPとは、ランディングページの略です。

広い意味では、広告、検索結果、SNS、メール、QRコードなどを経由して、ユーザーが最初に到達するページを指します。

一方、日本のWeb制作現場では、特定の商品・サービス・キャンペーンへの問い合わせや申し込みを目的とした、縦長の専用ページをLPと呼ぶことも多くあります。

つまり、LPには次のような2つの使われ方があります。

使われ方 意味
広い意味のLP ユーザーが最初に到達するページ
制作現場でよく使われるLP 問い合わせ・申し込み・購入などを目的にした専用ページ

LPでは、デザインの見た目だけでなく、情報の順番が重要です。

ユーザーの悩み、解決策、選ばれる理由、実績、料金、よくある質問、申し込みボタンなどを、自然な流れで配置する必要があります。

導線設計

導線設計とは、ユーザーを目的の行動へ導くための流れを設計することです。

Webサイトであれば、トップページからサービスページ、実績紹介、問い合わせフォームへ進む流れが導線です。

チラシであれば、キャッチコピー、サービス内容、メリット、問い合わせ先、QRコードの順番も導線として考えられます。

導線設計が弱いと、見た目が良くても問い合わせや購入につながりにくくなります。

「どこを見ればよいのか」「次に何をすればよいのか」が分かるデザインにすることが大切です。

レスポンシブデザイン

レスポンシブデザインとは、PC、スマートフォン、タブレットなど、異なる画面サイズに合わせて表示を調整するWebデザインの考え方です。

現在のWebサイトは、スマートフォンで見られることも多いため、PC画面だけで判断すると実際の見え方とズレる場合があります。

たとえば、PCでは横並びで見やすい情報でも、スマートフォンでは縦に並び替える必要があります。文字サイズやボタンの押しやすさも、スマートフォンで確認することが大切です。

Webサイトを依頼する場合は、PCだけでなくスマートフォンでの見え方も確認しましょう。

アクセシビリティ

アクセシビリティとは、できるだけ多くの人が情報にアクセスしやすくする考え方です。

Webやデザインの文脈では、文字の読みやすさ、色のコントラスト、ボタンの分かりやすさ、画像に頼りすぎない情報設計などが関係します。

たとえば、薄いグレーの文字を小さく配置すると、おしゃれに見えることはありますが、読みづらくなる場合があります。赤と緑だけで違いを表現すると、人によっては区別しにくいこともあります。

アクセシビリティは、特別な対応というより、見やすく、分かりやすく、使いやすいデザインを考える基本として捉えるとよいでしょう。

制作進行で出てくる用語

デザイン制作では、見た目に関する用語だけでなく、進行管理に関する言葉も出てきます。

ここを理解しておくと、依頼から納品までの流れが分かりやすくなります。

オリエン・ヒアリング

オリエンとは、オリエンテーションの略で、制作の目的や背景を共有する場を指します。

ヒアリングは、デザイン会社が発注者から詳しく話を聞くことです。

実務では、オリエンとヒアリングが一体になっている場合もあります。

この段階では、主に次のような内容を確認します。

  • 何を作りたいのか
  • なぜ作るのか
  • 誰に向けて作るのか
  • どのような印象にしたいのか
  • どこで使用するのか
  • 納期や予算はどれくらいか

ヒアリングで情報が整理されていると、制作の方向性が決まりやすくなります。

ラフ案

ラフ案とは、デザインの大まかな構成案のことです。

完成デザインではなく、配置や情報の流れを確認するための簡易的な案と考えると分かりやすいです。

ラフ案の段階では、細かい色や装飾よりも、次のような点を確認します。

  • 情報の順番は適切か
  • 見出しの位置は分かりやすいか
  • 写真やイラストの使い方は合っているか
  • 伝えたい内容が整理されているか

ラフ案は、完成前に方向性を確認するための大切な工程です。

ワイヤーフレーム

ワイヤーフレームとは、WebサイトやLPなどの画面構成を整理するための設計図のようなものです。

色や写真を作り込む前に、見出し、文章、画像、ボタンなどをどこに配置するかを確認します。

チラシやパンフレットのラフ案に近い役割ですが、Web制作では「どの順番で情報を見せるか」「どこにCTAを置くか」「スマートフォンではどう並ぶか」なども考える必要があります。

ワイヤーフレームの段階で構成を確認しておくと、デザイン作成後の大幅な修正を減らしやすくなります。

カンプ

カンプとは、完成イメージに近いデザイン案のことです。

紙媒体では、仕上がり見本に近い意味で使われることが多く、Web制作ではモックアップに近い意味で使われる場合もあります。

カンプを見るときは、好みだけで判断するのではなく、目的に合っているかを確認することが大切です。

  • ターゲットに合っているか
  • 伝えたい情報が目立っているか
  • ブランドイメージと合っているか
  • 問い合わせや購入につながる流れになっているか
  • 読みやすさに問題がないか

カンプは「きれいかどうか」だけでなく、目的を達成しやすい設計になっているかを見ることが重要です。

モックアップ

モックアップとは、完成イメージに近い見た目を確認するためのサンプルです。

Webサイト、アプリ、パッケージ、看板、名刺など、さまざまな制作物で使われます。

たとえば、ロゴを名刺に配置した状態、看板を建物写真に当てはめた状態、Webページの画面デザインなどをモックアップとして確認することがあります。

モックアップを見ることで、実際に使われる場面をイメージしやすくなります。

プロトタイプ

プロトタイプとは、Webサイトやアプリなどで、クリックや画面遷移などの動きを確認できる試作版のことです。

見た目だけでなく、ユーザーがどのように操作するかを確認したいときに使われます。

すべてのWeb制作でプロトタイプが必要になるわけではありませんが、複雑なサイトや申し込みフォーム、サービスサイトなどでは、操作の流れを確認するために役立ちます。

初校・再校・校了

初校とは、最初に提出される確認用のデザインや原稿のことです。

再校とは、初校に対して修正を反映した次の確認版です。

校了とは、内容確認が完了し、印刷や公開に進んでよい状態を指します。

印刷物の場合、校了後に大きな変更を行うと、スケジュールや費用に影響することがあります。Webの場合も、公開直前の大幅な修正は進行に影響することがあります。

校了前には、次の項目を丁寧に確認しましょう。

  • 誤字脱字
  • 会社名
  • 住所
  • 電話番号
  • 価格
  • 日付
  • QRコード
  • URL
  • メールアドレス
  • 地図
  • 写真やロゴの使用可否

特に電話番号、価格、日付、QRコードは、問い合わせや集客に直接影響する可能性があるため、慎重に確認することが大切です。

修正回数

修正回数とは、デザイン案に対して変更を依頼できる回数のことです。

修正回数の考え方は、デザイン会社や制作内容によって異なります。見積もり時に、どこまでが基本料金に含まれるのかを確認しておくと安心です。

注意したいのは、軽微な修正と大幅な方向転換は異なる場合があることです。

修正の種類 内容の例
軽微な修正 誤字修正、色味調整、写真差し替え、文言変更
大きな修正 構成変更、デザイン方向の変更、ターゲット変更、全面作り直し

たとえば、文字の変更や色の微調整は通常の修正範囲に含まれることが多いですが、デザインの方向性そのものを変える場合は、追加費用やスケジュール変更が発生することがあります。

依頼前に、修正範囲と追加費用の考え方を確認しておきましょう。

入稿データ

入稿データとは、印刷会社に渡すための完成データのことです。

チラシ、パンフレット、名刺、ポスターなどの印刷物では、印刷に適した形式でデータを作成する必要があります。

一般的には、次のような項目を確認します。

  • 塗り足し
  • トンボ
  • 解像度
  • カラーモード
  • フォント
  • PDF形式
  • 画像リンク
  • 仕上がりサイズ

ただし、必要な条件は印刷会社や印刷方式によって異なります。

最近では、印刷会社によってPDF入稿を推奨していたり、オンライン上で自動データチェックができたりする場合もあります。そのため、最終的には利用する印刷会社の入稿ルールに合わせて作成することが大切です。

発注者側が細かい仕様をすべて理解する必要はありませんが、デザイン会社が入稿データ作成まで対応してくれるのかは事前に確認しておくと安心です。

支給素材

支給素材とは、発注者側がデザイン会社に提供する写真、ロゴ、原稿、イラスト、地図、会社情報などの素材のことです。

たとえば、会社案内を作る場合は、会社ロゴ、代表写真、社屋写真、事業内容の文章、実績写真などが支給素材になります。

支給素材が不足していると、制作が進みにくくなることがあります。

また、写真の解像度が低い場合や、ロゴデータが画像しかない場合は、印刷や大きな看板に使いにくいこともあります。

発注前には、手元にどの素材があるかを整理しておくと、打ち合わせがスムーズです。

二次利用

二次利用とは、制作したデザインを当初の用途以外にも使うことです。

たとえば、チラシ用に作ったデザインをSNS投稿画像に使う、パンフレットの図版をWebサイトに掲載する、ロゴデータを看板やノベルティに使うといったケースがあります。

二次利用できるかどうかは、契約内容や使用している写真・イラスト・フォントなどによって変わる場合があります。

制作物を複数の媒体で使いたい場合は、最初の打ち合わせ時に相談しておくとよいでしょう。

打ち合わせで誤解が生まれやすい言葉

デザイン用語を知っておくことは役立ちますが、用語を使えば必ず正確に伝わるわけではありません。

特に、感覚的な言葉は人によって解釈が変わります。

「おしゃれにしたい」だけでは伝わりにくい

「おしゃれにしたい」という要望はよくあります。もちろん、悪い表現ではありません。

ただし、「おしゃれ」の基準は人によって異なります。

シンプルで余白のあるデザインをおしゃれと感じる人もいれば、色や装飾が多く華やかなデザインをおしゃれと感じる人もいます。

そのため、「おしゃれにしたい」と伝える場合は、次のように補足すると伝わりやすくなります。

  • 落ち着いた印象にしたい
  • 若い世代に親しみやすく見せたい
  • 高価格帯の商品として見せたい
  • 地域密着で温かみを出したい
  • 競合よりも信頼感を出したい

感覚的な言葉を使うときは、誰にどう見られたいのかを一緒に伝えることが大切です。

「高級感」「信頼感」「親しみやすさ」は解釈が分かれる

「高級感」「信頼感」「親しみやすさ」「清潔感」などは、デザイン依頼でよく使われる言葉です。

ただし、これらは抽象的な言葉です。

言葉 方向性の違い
高級感 重厚、上品、洗練、静けさ、格式
信頼感 誠実、安定、専門性、落ち着き
親しみやすさ 明るい、やさしい、地域密着、柔らかい
清潔感 白基調、余白、シンプル、整然

たとえば、同じ「高級感」でも、黒や金を使った重厚な雰囲気と、白を基調に余白を活かした上品な雰囲気では、仕上がりが大きく変わります。

抽象的な言葉を使うときは、参考画像や競合サイトを見せながら、「この部分が近い」「この雰囲気は違う」と説明すると認識を合わせやすくなります。

参考デザインは“好み”だけで選ばない

打ち合わせでは、参考デザインを用意するとイメージ共有がしやすくなります。

ただし、参考デザインを選ぶときは、自分の好みだけで選ばない方がよい場合があります。

デザインは、見る人に伝えるためのものです。発注者の好みに合っていても、ターゲットに合っていなければ、目的からズレることがあります。

参考デザインを見るときは、次のように分解して考えると実務的です。

  • 色の雰囲気が近いのか
  • 文字の見せ方が近いのか
  • 写真の使い方が近いのか
  • 余白の取り方が近いのか
  • 全体の印象が近いのか
  • 問い合わせ導線が参考になるのか

「このデザインが好き」だけでなく、「この余白の感じが好き」「この見出しの見せ方が分かりやすい」と具体化すると、デザイン会社も意図をくみ取りやすくなります。

発注前に整理しておくとよい項目

デザイン会社との打ち合わせをスムーズに進めるには、事前準備が役立ちます。

すべてを完璧に決める必要はありません。分かる範囲で整理しておくだけでも、打ち合わせの質は上がります。

誰に向けたデザインか

まず整理したいのは、ターゲットです。

同じサービスでも、誰に向けるかによってデザインの見せ方は変わります。

たとえば、企業向けのパンフレットと一般消費者向けのチラシでは、言葉選びもレイアウトも異なります。採用向けの資料であれば、求職者が知りたい情報を優先する必要があります。

ターゲットを整理するときは、次のような観点が役立ちます。

  • 法人向けか個人向けか
  • 新規顧客向けか既存顧客向けか
  • 地域住民向けか広域向けか
  • 専門知識がある人向けか初心者向けか
  • 商品をすぐ買いたい人向けか、比較検討中の人向けか

ターゲットが明確になると、デザインの言葉遣い、情報量、写真選び、配色を判断しやすくなります。

何を伝えたいのか

次に、伝えたい内容を整理します。

よくある失敗は、伝えたいことをすべて詰め込んでしまうことです。

会社の強み、サービス内容、価格、実績、代表挨拶、キャンペーン、問い合わせ先など、情報を盛り込みすぎると、かえって何が重要なのか分かりにくくなります。

発注前には、次のように優先順位をつけておくとよいでしょう。

優先度 内容
最優先 必ず伝えたいこと
重要 できれば伝えたいこと
補足 余裕があれば入れたいこと

デザインは情報整理でもあります。最初に優先順位を決めておくと、レイアウトや導線も設計しやすくなります。

見た人にどう行動してほしいのか

デザインの目的は、見た目を整えることだけではありません。

問い合わせ、来店、予約、資料請求、採用応募、認知拡大など、最終的にどの行動につなげたいのかを整理しておくことが大切です。

たとえば、同じチラシでも「認知を広げたい」のか「来店予約を増やしたい」のかで、必要な情報は変わります。

問い合わせを増やしたいなら、電話番号やQRコードを分かりやすく配置する必要があります。採用応募を増やしたいなら、職場の雰囲気や働くメリットが伝わる構成が重要です。

CTAや導線設計は、この行動目標から逆算して考えます。

使用媒体とサイズ

デザインは、どこで使うかによって作り方が変わります。

チラシ、パンフレット、名刺、看板、Webサイト、SNS投稿画像、バナーなど、それぞれ適したサイズや見せ方があります。

特に注意したいのは、同じデザインをそのまま別媒体に使い回すと、見え方が変わる場合があることです。

たとえば、A4チラシでは読みやすい文字サイズでも、スマートフォンで見るバナーでは小さすぎることがあります。看板では、遠くから見たときの視認性が重要です。

使用媒体が決まっている場合は、打ち合わせ時に必ず共有することが大切です。

納期・予算・掲載場所

制作をスムーズに進めるためには、納期や予算も重要です。

デザイン制作には、ヒアリング、構成整理、デザイン作成、修正、確認、納品といった工程があります。印刷物の場合は、印刷や配送の日数も必要です。

「いつまでに使いたいのか」が決まっている場合は、制作納期ではなく、使用開始日から逆算して相談することが大切です。

また、予算がある場合は、早めに伝えておく方が現実的な提案を受けやすくなります。

予算を伝えることは、安くしてもらうためだけではありません。どこまで対応できるか、どの工程を優先するかを判断するための材料になります。

用語が分からないまま依頼しても大丈夫?

結論から言えば、用語が分からないままデザイン会社に依頼しても問題ありません。

ただし、分からない言葉をそのままにせず、確認しながら進めることが大切です。

分からない言葉はその場で確認してよい

打ち合わせで聞き慣れない言葉が出てきたら、その場で確認して構いません。

たとえば、次のように聞くとスムーズです。

  • それはどういう意味ですか?
  • 今回の制作では、どの部分に関係しますか?
  • こちら側で何か準備が必要ですか?
  • 判断するときは、どこを見ればよいですか?

分からないまま進めると、後から「そういう意味だと思っていなかった」となる可能性があります。

小さな疑問ほど、早めに確認することが大切です。

良いデザイン会社は、言葉の意味から整理してくれる

デザイン会社の役割は、単に制作物を作ることだけではありません。

発注者の目的や悩みを整理し、必要な情報を引き出しながら、適切な形にすることも重要な役割です。

そのため、専門用語を一方的に使うのではなく、依頼者の理解度に合わせて説明してくれる会社の方が、初めての依頼でも相談しやすいでしょう。

デザイン会社を選ぶ際は、実績や価格だけでなく、次のような点も確認するとよいです。

  • 専門用語を分かりやすく説明してくれるか
  • 目的やターゲットを丁寧に聞いてくれるか
  • デザインの理由を説明してくれるか
  • 修正範囲や進行方法を明確にしてくれるか
  • 制作後の使用方法まで考えてくれるか

打ち合わせの分かりやすさは、依頼後の安心感にもつながります。

打ち合わせは“正解を持っていく場”ではなく“整理する場”

デザイン会社との打ち合わせに、最初から完璧な答えを持っていく必要はありません。

むしろ、相談しながら整理していくことが多いです。

たとえば、次のような段階でも相談できます。

  • 今のチラシが古く見える気がする
  • ホームページの印象を整えたい
  • ロゴと名刺とパンフレットの雰囲気がバラバラになっている
  • 問い合わせにつながる見せ方にしたい
  • SNSやWeb広告にも使いやすいデザインにしたい

大切なのは、困っていることや違和感を言葉にすることです。

そこから、デザイン会社が課題を整理し、必要な制作物や改善点を提案していきます。

よくある質問

デザイン用語を知らないと、打ち合わせで困りますか?

用語を知らなくても依頼はできます。ただし、基本的な言葉を少し理解しておくと、打ち合わせ内容を把握しやすくなります。特に、トンマナ、レイアウト、CTA、ファーストビュー、ラフ案、校正、入稿データなどは、制作の流れで出てきやすい用語です。

参考デザインは用意した方がよいですか?

用意できる場合は、参考デザインがあるとイメージ共有がしやすくなります。ただし、参考デザインは「そのまま真似るため」ではなく、方向性を伝えるための材料です。どの部分が良いと感じたのかも一緒に伝えると、より正確に意図が伝わります。

「おしゃれにしたい」という伝え方でも大丈夫ですか?

伝え方として間違いではありませんが、それだけでは解釈が分かれやすいです。「落ち着いた印象にしたい」「若い人にも親しみやすくしたい」「高価格帯に見えるようにしたい」など、誰にどう見られたいかを添えると、より伝わりやすくなります。

修正は何回までできるものですか?

修正回数は、デザイン会社や制作内容、見積もり条件によって異なります。一般的には、契約前や見積もり段階で確認しておくと安心です。誤字修正や色調整は対応範囲に含まれることが多いですが、大幅な方向転換は追加費用になる場合もあります。

ロゴ、チラシ、Webサイトをまとめて相談できますか?

デザイン会社によって対応範囲は異なりますが、まとめて相談できる場合もあります。ロゴ、チラシ、パンフレット、Webサイト、SNS画像などを一貫して設計すると、トンマナを統一しやすくなります。ブランドイメージを整えたい場合は、個別制作よりも全体設計から相談するのがおすすめです。

まとめ

デザイン会社との打ち合わせでは、トンマナ、CTA、ファーストビュー、ラフ案、カンプ、ワイヤーフレーム、校正、入稿データなど、さまざまな用語が出てきます。

しかし、発注者がすべての専門用語を完璧に覚える必要はありません。

大切なのは、用語の意味をざっくり理解し、目的やターゲット、伝えたい内容を整理しておくことです。

デザイン用語は、専門家らしく話すためのものではなく、制作側と認識を合わせるための共通言語です。

特に、次の点を押さえておくと、打ち合わせがスムーズになります。

  • 誰に向けたデザインなのか
  • 何を伝えたいのか
  • 見た人にどう行動してほしいのか
  • どの媒体で使うのか
  • どのような印象にしたいのか
  • どこまでを依頼したいのか

用語が分からない場合でも、遠慮せずに確認して問題ありません。良いデザイン会社は、専門用語を分かりやすく説明しながら、目的に合った形へ整理してくれます。

ロゴ、チラシ、パンフレット、Webサイト、SNS画像などを制作する際は、見た目だけでなく、伝わり方や行動導線まで考えることが大切です。

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